ボデガス・ベロニアは、バスク地方の伝統的な会員制美食愛好会”チョコ (Txoko)”から生まれました。チョコは、友人たちが集まって料理を作り、食事を楽しみ、親密な時間を過ごすためのプライベートな美食クラブです。この社会的集まりはバスク地方に深く根付いており、クラブの仲間は美食、ワイン、地域文化への愛情を通じて絆を深めます。チョコを通してスペインのガストロノミーに情熱を注ぎ、美食を通じて絆を深めた友人たちが、料理とワインへの愛情を深化させ、バスク料理にぴったりのワインを造るため、1973年にリオハ・アルタの中心部オリャウリに設立したのが「ボデガス・ベロニア」です。「ベロニア(Beronia)」という名前は、紀元前3世紀頃にリオハ地方に住んでいたケルト系民族がこの土地をベロニアと呼んだことに由来しています。
設立当初から、スペインを代表する黒ブドウ品種であるテンプラニーリョを中心に、ガルナッチャやグラシアーノなど地元の品種を用いた伝統的なリオハワインの生産に取り組み、職人技とバスクの美食文化を融合させたリオハワインを生み出してきました。1982年にはスペインの名門ワイングループである「ゴンザレス・ビアス」の傘下となり、このパートナーシップによって、ボデガス・ベロニアはさらなる成長を遂げ国際的に認められるブランドへと発展しました。現在ボデガス・ベロニアはリオハの個性を反映したワイン造りにこだわりながら、革新的で持続可能なワイン造りを推進しています。その伝統と進化のバランスが、多くのワイン愛好家から支持を集める所以です。
ボデガス・ベロニアの設立は、友情、伝統、そして人生の美しいものへの共通の愛に突き動かされたものでした。設立から約半世紀が経った今も、この人間的な温かさや美しさがワイナリーの原動力であり、アイデンティティの中心です。ボデガス・ベロニアが造るワインの一杯一杯に、日々ワイン造りに携わる仲間の情熱が込められています。国際的に認知されるリオハワインの造り手となった今も、ワインと食が密接に関わるバスクのルーツに忠実であり続け、ワインが単なる飲み物ではなく、美食と仲間と共に過ごすかけがえのない時間を構成する、重要な要素であることを示し続けています。
ボデガス・ベロニアのワイン造りの中心には、「ワインは友人たちと楽しむために造られるべきだ」という考えがあります。これは、ワイナリーの起源であるバスク地方の「チョコ(Txoko)」文化に根ざした理念であり、ボデガス・ベロニアのモットーである「友によって生まれた、友と楽しむためのワイン」に象徴されています。このコンセプトは、コミュニティ、伝統、楽しみを重視するものであり、美食とワイン、そして仲間と過ごす時間を愛する友人たちによってワイナリーが設立された当時の価値観に基づいています。彼らの美食への情熱が、まるでチョコでの集まりのように、人々をつなぐワイン造りへとつながりました。ボデガス・ベロニアのワインは、美味しい料理とともに、大切な仲間と楽しい時間を過ごすためのものであり、「つながり」や「共有する喜び」を大切にするライフスタイルを体現しています。
「スペイン新進気鋭の醸造家トップ10」選出の醸造家
2024年10月にボデガス・ベロニアの醸造責任者に就任したアレハンドロ・ロペス氏は、ラ・リオハ大学でブドウ栽培・醸造学を、ナバーラ大学で農学を学んだ後、ワイン醸造家やブドウ栽培家に自然農法に関する助言を行うことからそのキャリアをスタートさせました。チリ、イタリア、アメリカなど世界各国のワイナリーで20年以上にわたり経験を積み、リオハへ戻った後も、リオハ・アラベサやアーロの著名なワイナリーで醸造責任者・技術責任者として活躍を続けました。2018年にはデキャンター誌の「スペイン新進気鋭の醸造家トップ10」に選出され、「スペインのワイントレンドを牽引する新世代の重要人物でありリーダーである」と評されました。現在、アレハンドロはボデガス・ベロニアの新たなリーダーとして、その豊かな経験をワイナリーに注ぎ込んでいます。
アレハンドロの就任前、ボデガス・ベロニアは42年以上にわたりマティアス・カジェハ氏が率いてきました。マティアスは2023年のティム・アトキンMW「リオハ・スペシャル・レポート」で"伝説的な醸造家"として取り上げられたワインメーカーで、細部にまでこだわり抜いたワイン造りにより、数々の評価を得るワインを生み出してきました。革新的な技術の導入やサステナビリティへの強い信念を持ち「未来の世代のために、より良い、持続可能な世界を残すこと」に尽力してきました。アレハンドロはマティアスの後を継ぎ、50年以上の歴史を持つボデガス・ベロニアの新しい章を担います。「私たちはルーツと伝統を大切にしながらも新たな挑戦に取り組み、より洗練された、テロワールの個性を真に表現するワイン造りを続けていきます」とアレハンドロは語っています。