ガネア・ワイナリーの創設者は祖父や父が自家製ワインを作る姿を見て育ち、ブドウがワインという高貴な飲み物に変わる神秘にすっかり魅了され”唯一無二のワイン”を生み出す研究に打ち込みました。若者が造り出したブレンドワインは身内や友人、近所の人々の間でたちまち評判に。個人消費用ワインにおさまりきらなくなり、事業を拡張。契約農家からブドウを購入し、多様なブレンドワインをモルドバ中に、そして世界中に送り出すようになったのです。「ランド・オブ・ベッサラビア」は、モルドバ南東部の地理的表示保護(PGI)指定地域、シュテファン・ヴォダで2016年に発足したプロジェクト。ブドウ品種の個性にこだわる哲学がはっきりと打ち出されたブランドです。
収穫は手摘みにこだわり、ボルドーワインの伝統的製法をベースにしつつ、クリオ・マセレーション(0~5℃の氷温浸漬)、ブドウの実をつぶさないまま細かい温度調整下の発酵、重力を利用したデレスタージュ(澱抜き静置)など、現代的な先端技術を組み合わせたユニークなワイン造りを行っています。現在、ヴァディム・ミハイロフがワイン造りの指揮をとっています。ベッサラビア地域についてや革新的な醸造方法に関する著書もある、経験豊かな醸造家です。
モルドバワイン
世界最古のワイン産地「モルドバ共和国」で、生産されているモルドバワイン。モルドバは黒海を西にしたウクライナとルーマニアの中間に位置する小国で、国土面積は九州より少し小さい程度です。フランスのブルゴーニュ地方とほぼ同緯度(北緯46~48度)で、大半がなだらかな丘陵地帯。昼夜の気温差が激しく年間降水量が少ないため、ぶどう栽培に最適な環境と言われています。また、化学肥料の不要な肥沃な黒土の自然土壌に恵まれている点も、モルドバのワイン作りを活性化させた重要なポイントでしょう。モルドバの年間ワイン生産量は約2億リットルで世界ランキング19位(2018年時点)。1位イタリアの48億リットルには遠く及ばないものの、小国ながら年々着実にワイン産業が活性化しています。商業生産だけでなく、モルドバでは一般家庭でもワイン造りが盛んです。
モルドバワインの特徴
モルドバワインは、基本的にシンプルでクセがなくやさしい味わいが特徴。白ワインはフルーティーかつすっきりとしたほどよい酸味、赤ワインはタンニンがやわらかく軽やかな口当たりのものが多いです。
土着品種について
モルドバで栽培されているぶどうのうち7割はヨーロッパ品種ですが、モルドバの自然環境に適合して生まれた土着品種もちゃんと残っています。モルドバの土着品種は、ぶどうの特徴を女性に例えて名付けられているものが多いです。