ブルゴーニュ屈指の銘醸地ヴォーヌ・ロマネに、1830年から続くグロ家の伝統。その歴史を受け継ぐ名門ドメーヌのひとつが、グロ・フレール・エ・スールです。
グロ家の歴史は、アルフォンス・グロが1830年にヴォーヌ・ロマネでワイン造りを始めたことにさかのぼります。代々ブドウ畑を拡大し、名声を築いてきたグロ家ですが、1951年にルイ・グロが亡くなると、4人の子どもたち、ジャン、フランソワ、ギュスターヴ、コレットの世代で畑が分割され、それぞれのドメーヌへと発展していきました。
1963年、ギュスターヴと妹コレットが相続した畑を合わせて設立したのが、グロ・フレール・エ・スールです。フランス語で「フレール・エ・スール」は「兄と妹」を意味し、兄妹で力を合わせて築いたドメーヌの成り立ちを現在もその名にとどめています。
一方、兄ジャン・グロも独自のドメーヌを発展させ、グロ家の名声を高めた重要な人物です。ジャンは1995年に引退し、所有していた畑を3人の子ども、ミシェル、ベルナール、アンヌ・フランソワーズに引き継ぎました。この相続によって、現在のグロ家を代表する複数のドメーヌが、それぞれの個性を育んでいくことになります。
その中でベルナール・グロは、父ジャンから畑を相続しただけでなく、叔父ギュスターヴと叔母コレットが築いたグロ・フレール・エ・スールの歴史を受け継いだ人物です。ベルナールは1980年にドメーヌに加わり、1984年にギュスターヴが亡くなると、コレットとともに運営の中心を担いました。以後30年以上にわたり、ブドウ畑の再整備や植え替えに取り組み、ドメーヌの発展に大きく貢献しました。父から受け継いだ畑も含め、異なる所有関係にある区画のブドウをグロ・フレール・エ・スールの名のもとで醸造・瓶詰め・販売する体制が築かれていきました。
2010年、ベルナールは娘のエロディと息子のヴァンサンにドメーヌの運営を引き継ぎます。現在はグロ家の第7世代にあたる2人が伝統を守りながら、現代の感性を取り入れたワイン造りを進めています。
グロ家には、ミシェル・グロ、アンヌ・フランソワーズ・グロ、アンヌ・グロなど、同じ家系から生まれた複数のドメーヌがあります。しかし、それぞれが異なる畑と歴史を持ち、独自の哲学を追求している点が特徴です。
グロ・フレール・エ・スールは、ベルナールの時代には豊かな果実味とふくよかさを備えたスタイルで知られてきました。近年はヴァンサンを中心に、抽出や樽使いを見直し、果実そのものの魅力や畑の個性をより繊細に表現する方向へと進化していると評価されています。
グロ家の長い歴史、ベルナールが築いた基盤、そしてエロディとヴァンサンの新しい世代の感性。伝統を受け継ぎながら変化を続けるグロ・フレール・エ・スールは、ヴォーヌ・ロマネを代表する名門ドメーヌのひとつです。
グロ家の系譜と、それぞれの方向性 系譜と特徴
ドメーヌ グロ・フレール・エ・スール 兄ギュスターヴと妹コレットが設立。ベルナールが発展させ、現在はエロディとヴァンサンが継承。
近年は果実の純粋さや繊細な表現を重視する方向へ。
ドメーヌ・ミシェル・グロ ジャン・グロの長男ミシェルが継承。独自の畑を基礎に、伝統を重んじながら畑ごとの個性を表現。
ドメーヌ A.F.グロ(アンヌ・フランソワーズ・グロ) ジャン・グロの娘アンヌ・フランソワーズが1988年に設立。
夫フランソワ・パランの醸造技術も生かし、優雅さやシルキーな口当たりを重視。現在は子どものカロリーヌとマティアスが中心。
ドメーヌ・アンヌ・グロ ジャンの弟フランソワの娘アンヌが1988年に父のドメーヌを引き継いだもの。
ジャン・グロの娘アンヌ・フランソワーズとは別人で、別系統のドメーヌ。