350年以上もの長いワイン造りの歴史
1659年2月2日、南アフリカ最初のワインが造られました。
今から350年以上も前の事です。
初代ケープタウン総領事ヤン・ファン・リーベックの日誌にはこう書き留められています。
「今日、神を賛美します。ケープのブドウから最初のワインが本日無事造られました。」
南アフリカワインの歴史は、オランダ東インド会社が、香辛料を求めてインドやアジアに向かう途中のケープタウンに食糧供給基地を設けたのが始まりです。彼らはその地でブドウ栽培及びワイン造りを始めたのです。その歴史はアメリカ合衆国の1769年、オーストラリアの1788年と比べても100年以上も早いという事になります。17世紀後半には宗教迫害を受けケープ地方に移住してきたフランス・ユグノー派の人々がワイン産業を発展させました。その後、フランスと英国の戦争、フィロキセラ害の拡散、アングロ=ボーア戦争、ワイン供給過剰時代など数々の困難をへて南アフリカワイン産業は発展してきました。そして20世紀後半にはアパルトヘイトによる国際的な経済制裁で輸出はストップしワイン産業は大打撃を受けました。しかし1994年にネルソン・マンデラが大統領に就任し、アパルトヘイトが撤廃され民主化が進められると、ワイン産業は急速に発展しました。200軒ほどのワイナリーが今では約600軒と3倍に増え、生産量は2014年時点で世界第7位を記録しています。ワイン輸出量に至っては、1992年2200万Lだったものが、2014年には約20倍の4億2200万Lに増加したのです。

オランダ東インド会社の帆船

ヤン・ファン・リーベック氏

(フランシュック地区)

ネルソン・マンデラ氏
南アフリカワインに関わる歴史年表
1652年 | オランダ東インド会社が食糧供給基地をケープタウンに設立。 |
1655年 | 初代ケープタウン総領事ヤン・ファン・リーベックがブドウ栽培開始。 |
1659年 | 南アフリカ最初のワイン誕生。(2月2日) |
1679年 | ステレンボッシュの町がシモン・ファン・デール・スティル知事によって建設される。 |
1680~1690年 | 宗教的な迫害を受けたフランス・ユグノー派の人々がケープに移住しその後ワイン産業が発展する。 |
1886年 | フィロキセラ害(ブドウの生育に害を及ぼす昆虫による被害)。 |
1925年 | ピノノワールとサンソーを交配し、南アフリカ独自の品種ピノタージュが生まれる。 |
1950年代 | 他のニューワールド諸国に比べて、いち早く低温発酵を導入。それにより、フレッシュでアロマティックな白ワイン製造が可能になる。 |
1961年 | ピノタージュを使った最初のワイン(ヴィンテージ1959年)誕生。 |
1918年 | KWVの設立。(南アフリカぶどう栽培者協同組合) |
1973年 | 原産地呼称(WO:ワイン・オブ・オリジン)制定。 |
1990年 | ネルソン・マンデラが27年間の獄中生活から釈放され、南アフリカワインが再び国際的に受け入れられるようになる。南アフリカワイン&スピリッツ輸出協会(SAWSEA)設立。 |
1994年 | ネルソン・マンデラが大統領に就任し、アパルトヘイトの完全撤廃と民主化のスタート。 |
1990年代 | 多くのワイン醸造家が、海外でのワイン生産の経験を積み、帰国後南アフリカワインの品質向上に貢献。 |
1997年 | KWVが民間企業となる。 |
1998年 | IPW(インテグレイティド・プロダクション・オブ・ワイン:環境に配慮したワイン生産のガイドライン)導入。 |
2000年 | 南アフリカワイン協会(WOSA)誕生。 南アフリカワイン&スピリッツ輸出協会(SAWSEA)から改名。 |
2004年 | BWI(バイオダイバシティ&ワイン・イニシャティブ:生物多様性の保護とワイン産業の発展を目的としたワイン生産のガイドライン)導入。 |
2010年 | 「ワインの品質と持続可能性を保証した」シールの導入。 |
2012年 | 「ワイン法、自然環境、労働環境を遵守する」新しいシール発行。 |